人生を豊かにする音楽・居酒屋・旅にまつわる気ままなブログ

マーラー「巨人」は真夏の果実?

 

大学受験の結果、私は九州大学理学部数学科に入学しました。 夏目漱石の「坊ちゃん」は、東京物理学校(現東京理科大学)を卒業して、松山中学の数学の教師として赴任してくるお話でした。 私も、「坊ちゃん」に憧れて、数学の教師になることを夢見て福岡市にある九州大学(九大)の数学科に入学したのでした。 何故九大かということについては、1月14日号の私のブログを読んでください。

九大は、バンカラな校風の大学です。 当時地元のタウン誌「シティ情報ふくおか」で九大の男子学生のことがよく取り上げられていて、「ダリア少年」と称されていました。 九大男子学生の典型的なスタイルは、大学生協で特売している白い3本線の入った緑色のジャージ、どこのブランドが分からないベルボトムのジーンズ、靴は白いプューマの運動靴。 ダリア少年とは、「どんな綺麗な花を咲かせようと努力しても根っ子はイモだ。」という思いが背込められていました。 どうみても松山の坊ちゃん以上に田舎者です。こんなはずではなかった! 高校3年生の時の担任のS先生のおっしゃっていた「博多美人」はどこにいるのでしょう???  生まれて初めて親元を離れて下宿。 もっとゴージャスにキャンパス生活に憧れていたために、その現実とのギャップは相当なものでした。

大学入学後、サークル勧誘が盛んに開催されていました。 私は、中学・高校ともテニス部だったので、またテニス部に入部する予定でしたが、体育会系サークル紹介より先に文科系サークル紹介があり、そこで運命の出会いとも言える九大フィルハーモニーオーケストラと出会いました。

九大フィルについては、下記のMostly Classicでの特集取材をご参照ください。

http://mclassic.excite.co.jp/mclassic/03-12/amateur/

中学生の頃からクラシック音楽鑑賞が趣味ではありましたが、自分で楽器演奏なんて想像したこともありませんでした。 このサークル紹介では、6月の定期公演のリハーサルを見学するのでした。 この時のプログラムが、シューベルトの<未完成>交響曲とマーラーの交響曲第1番「巨人」でした。 そのリハーサルを聴いてそのウマさにビックリ。 逆に私のような初心者の出る幕はないのではと恐れをなしました。 しかし、気がついたら、先輩に口説き落とされその日のうちに入部するはめに。 では何の楽器を選択するのか。。。 オーケストラですから、弦楽器と管楽器、そして打楽器から編成されているわけですが、やるなら弦楽器。 菅打楽器は、ブラスバンド出身者ばかりですし、どうせオケなら、弦でしょうっ。 このあたり、2001年4月11日の日本工業新聞で、池田昇記者が取材記事を書いてくださっているのですが、「ヴァイオリンは小さい頃からの経験者がほとんど。ビオラやコントラパスだと地味で目立てない。みんなと同じラインからスタートして、しかも目立つにはこれしかない。」そして身体も大きかったので、チェロを選んだのでした。 すごい打算的というか負けず嫌いの性格からというか、兎に角ここからチェロという楽器との付き合いが始まったのでした。

入部して最初の役回りが録音係り。 東京から来た指揮者のトレーニング(3日連続午後2時から夜9時まで。 1回の演奏会でこの3日サイクルを3回。。。 おいおい、何時授業に出てるんだい・・・)の時に、後でプレイバックして反省会に使う演奏をひたすら録音し続けるのです。

マーラーの交響曲第1番「巨人」は、スケールの大きい、それでいてマーラー28歳の時の最初のシンフォニーとは思えない完成度の高い名曲です。 その甘美さ、混沌の中からの脱出、独特の長いフレーズ。 画家グスタフ・クリムトと世代を同じくした作曲家であり指揮者のマーラーの代表作と言ってもいい作品です。

このマーラー「巨人」の演奏会は、6月。 もう福岡は蒸し暑い梅雨時です。 汗だくになって黙々と録音係を担当したことを覚えています。 

私自身初めてこの曲を演奏したのは、1982年の8月。 その年、ローマで開催された第4回国際ユース・フェスティバルに日本からユース・シンフォニー・オーケストラ・オブ・ジャパンのチェロ首席奏者として参加させていただいた時、現地で行われたオーディションにまぐれで合格し、ローマ・オペラ座の指揮者ガブリエル・フェロー氏のタクトでマーラーの「巨人」を演奏させていただいたのでした。 

どちらも偶然、夏。パブロフの犬じゃないですが、私にとってマーラーと言えば真夏なのです。 季節感と音楽の関連性ってありますよね。 第一楽章でE(ミ音)のフラジオレットで透明な音作りに苦心したあの日。 第四楽章のホルン・パート全員立ち上がって、木管楽器が全員ベル・アップで最大のパワーを振り絞っての終結部。これも夏の思い出です。 1996年夏、米国ボストン近郊で毎年開催されるタングルウッド音楽祭で、小澤征爾&ボストン響で聞いたマーラー交響曲第2番「復活」。 これも夏。。。

私にとって、マーラーは何故か真夏の音楽なのです。真夏のブルックナーはいただけませんね、暑苦しくて。。。

さて、このマーラーの交響曲第1番ニ長調「巨人」のお奨めCDは次の3枚です。 何と言っても、マーラーの愛弟子、ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団(SONYレーベル)は、はずせません。 でも、ワルターのマーラーは、夏のマーラーではないんです。 それなら、クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルのライブ録音(ドイツ・グラモフォン)を取ります。 アバドは、シカゴ交響楽団とも同曲録音(1981年)していますが、その後のベルリン・フィルとのライブの熱気が正に「真夏の果実(?)」(でも録音は1989年の寒い12月)。 私的には、小澤征爾指揮ボストン交響楽団(ドイツ・グラモフォン)のさわやかで透明感のある、それでいて奥行きの深い演奏も大好きです。 これには、「花の章」(もともと5楽章2部編成の第二楽章として作曲されたもの)が付いています。 久々に、この夏どこかでマーラーを演奏できればなぁと思っています。

 

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コメント / トラックバック1件

  1. amabile

    音楽って単なる思い出だけじゃなくて、そのときの季節感、空気や感情までも呼び起こしますね。先日行ったコンサートで、作曲家の宮川彬良氏が、「音楽とは時間も空間も越えられるもの」っておっしゃっていました。真夏とマーラー・・・まさにそんな感じ・・・ですね (*^。^*)

    2005年1月17日 4:11 AM

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