人生を豊かにする音楽・居酒屋・旅にまつわる気ままなブログ

2月, 2005 のアーカイブ

ゴルトベルク変奏曲

J.S.バッハと数学は通じるところがあります。

 

私は、J.S.バッハの器楽曲、特に鍵盤曲は、大好きで、なぜか幾何学と通じるものがあると思います。

 

綿密に計算されたポリフォニー、緻密なまでに無駄のないひとつひとつの音符。バッハの楽譜を見ているだけで、澄んだ透明感と同時に、すばらしい色彩感が、思い浮かんでくるのです。

 

哲学者の森有正さんが、著書「生きることと考えること」(講談社現代新書)の中の、「バッハに学ぶ」という章で、自らが、教会オルガン奏者であった経験を元に、「楽曲そのものを調和と均整が内面的にとれるように演奏することが、バッハの本質」と語っています。そうすることによって、時には、自分というものを殺してほんとうの"もの"を生かせるのだと。彼は、またバッハの凄さは、「音の精神的組織力」だとも解説しています。

 

 

そんな神様のような、J.S.バッハの「ゴルトベルク変奏曲」が本気で好きになったのは、私が、今から20年前に、東京に単身赴任していた時でした。

 

ちょうど、ジャズにも凝りはじめていた頃で、キース・ジャレット(Keith Jarrett)に傾注していた頃でした。ジャズ・ピアニストのキースが、J.S.バッハのゴルドベルク変奏曲、平均律クラヴィア集、フランス組曲、イギリス組曲などの名曲を、チェンバロもしくは、ピアノで録音しているのです。

 

早速、キースのチェンバロによるゴルトベルク変奏曲のCD(1989年八ヶ岳高原音楽堂録音/ECM)を購入しました。

 

それまで、同曲と言えば、グレン・グールドのピアノ演奏の1981年録音(SONYレーベル)が定番でしたが、奇才グールドと全く違うキースのドキドキするような演奏に引き込まれでいきました。

 

一言で言えば、即興ジャズ・ピアニストであるキースが、ケルン・コンサートや、パリ、ウィーン、ミラノで聴衆を魅了した自分自身を前面に出したキースの即興演奏ではなく、森有正さんが書いていたように、「自分というものを殺してほんとうの"もの"を生かしている」ような演奏です。

 

これが、ピアノで演奏されたらもっと印象が変わったでしょうが、むしろ、ひとつひとつの音の粒の集合体で響きを織り成すことが得意なチェンバロという楽器によって、キースの真摯なバッハに対する音楽が、天国から地上に舞い降りたという感じです。

 

もちろん、ジャズ・ピアニストらしい装飾音符もチャーミングで、これは誰にでも真似できるものではないなと感じます。

 

 

そもそも、このゴルトベルク変奏曲(アルファベットで書くと、Goldberg Variationsなのに、何故かどのCDのタイトルも、ゴールドベルグじゃなく、ゴルトベルクとなっています。多分ドイツ語読みなんでしょうね。)は、そもそも不眠症解消のために作曲された音楽だったんです。

 

1741年に、宮廷音楽家であったバッハが、ドレスデンに旅をした際、不眠症にかかっていたロシアのある伯爵からの依頼で書き上げた曲でした。伯爵は眠れぬ夜、伯爵に仕えるゴルトベルク君という14歳の少年にピアノを演奏させていたそうです。そして、伯爵の名前ではなく、何故か毎晩伯爵に演奏してあげていた少年の名前が付けられているのです。

 

東京単身赴任の翌年、ニューヨーク勤務になった私は、もう一枚、このゴルトベルク変奏曲の名盤に出会ったのでした。それは、Dmitry Sitkovetsky指揮New European Strings(輸入盤なので、指揮者の日本語表記がわかっていなくてゴメンなさい。)による弦楽合奏のアレンジ版でした。

 

目からウロコみたいな演奏で、しっとりとして艶やかで、原曲を見事に再現しています。私は、雪がしんしんと降り積もるニューヨークの自宅で、毎晩このCDをBGMにして寝ていました。

 

 

この弦楽合奏以外にも、いろんな編曲が存在します。私も興味本位に、いろいろと集めました。

 

1) Agnieszka Duczmal指揮Amadeus Chamber Orchestra of the Polish RadioによるKofferと言う人の編曲による管楽器も入れた室内オーケストラ版

 

2) 前述の弦楽合奏用に編曲したDmitry Sitkovetskyのアレンジでヴァイオリン、ビオラ、チェロの弦楽三重奏版。これは、女性三人によるTrio ZilliacusPerssonRaitinenというトリオとAmati Trioの2枚のCDを持っています。

 

3) シュトゥツトガルト室内管弦楽団が弦楽合奏版を演奏している間に、カルマン・オラー(ピアノ)とミニ・シュルツ(ベース)が参加してジャズ演奏を10曲のバリエーションを披露している2枚組みCD。

 

4) ユリ・ケイン・アンサンブルによるジャズあり、ラテンのノリあり、ヒーリングありと変奏曲毎に趣向をこらした1枚。

 

5) マルセル・ビッチ編曲の室内八重奏版によるフランス八重奏団によるゴルトベルク変奏曲。

 

6) Paly Bachで有名になった、ジャック・ルーシェ・トリオによるジャズ演奏。

 

これ以外にも、今買おうかなと思っているのが、オルガンによる演奏(これは、編曲というより、原曲を違う楽器で演奏したもの)と、カナディアン・ブラスによる金管アンサンブルの編曲版。

 

 

原曲どおりの演奏についても少しCDをご紹介します。

 

やはり、グレン・グールドのピアノ演奏は、定番でしょうね。1981年の録音とは別に、1955年の録音がSONYから発売されています。そのテンポ感の違いにびっくりされることでしょう。つまり、1981年の録音は、とにかく遅い。グールドが生命を振り絞って、一音一音を奏でているような演奏です。

 

この両盤の優劣はつけ難いですが、好みの問題でしょうね。また、1954年のカナダでのモノラル・ライブ録音(SONY輸入盤)を見付けて購入しました。この演奏が、後の1981年盤に近いので、またまたびっくりでした。1959年のザルツブルグでのライブ録音のCDがインターネットで紹介されていたので、今度購入してどんなテンポか確認してみたいと思います。

 

また、カール・リヒターが1969年に来日した際の日生劇場でのNHKによる実況録音(Altusレーベル)も、ライブならではの醍醐味があり興味深い演奏です。重心の低い、どっしりのとしたバッハは、ドイツ正統派の演奏として、今まで紹介したどのCDにもないユニークなものです。ライブ録音なので、若干ミスタッチからくる音の濁りもありますが、そこには、音楽そのものが存在していて気になりません。

 

日本人演奏家をあなどることなかれ。。。

 

このゴルトベルク変奏曲では、チェンバロの曽根麻矢子さ(ワーナーミュージックジャパン)とピアノの高橋悠治さん(Avex Classics)の演奏は、世界に通用するバッハです。

 

曽根麻矢子さんは、気品のあるフランス式のチェンバロで繊細かつ艶やかなゴルトベルクが表現されています。変奏曲が進むごとに、新しい発見があって、聴く者を飽きさせません。すばらしい奏者だと思います。

 

一方、高橋悠治さんのピアノ演奏は、28年振りに再録音された、昨年11月の新譜です。「グールドの再来」と呼びたくなるような意志の強い演奏です。サティやシェーンベルグへのアプローチのように、このような緻密なバッハの音楽を見事に紐解いてくれます。

 

 

さあ、今晩は、どのゴルトベルク変奏曲で、心地よい眠りにつきましょうか。。。

 

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指揮棒あれこれ

日曜日の朝です。

 

まだ外は肌寒いですが、さわやかな休日の朝です。

 

 

日曜日の午前中って結構好きです。

 

土曜日は、前日金曜日までの仕事の疲れと、金曜日の夜に呑んだお酒が残っていたり、またゴルフで終日つぶれたりとします。

 

でも、日曜日は、特に日曜日の午前中という時間は、さあ、今日一日何して過ごそうかなとこれから先10時間くらいのことをいろいろ考えて気持ちに余裕が持てるひと時であります。

 

 

我が家の私のリスニング・ルーム兼家族のパソコン・ルームも、CDと蔵書であふれかえってきました。そろそろ、整理しないといけません。

 

私のリスニング・ルームには、一風変ったコレクション(?)が、無造作に箱に入って置かれています。

 

それは、オーケストラの指揮者が使う指揮棒(=ドイツ語ではタクト、英語ではバトン)です。

 

 

そもそもの指揮棒の歴史については、他のサイトを参照いただくとして、今回は、「指揮者による指揮棒の違い」について一風変ったご紹介をしましょう。

 

まず、材質ですが、昔は、竹やメープルなど木製が中心でした。現在は、カーボンやグラスファイバー製なども主流になりました。

 

指揮者によって指揮棒の長さは、まちまちです。市販のものを、弟子が削ったり短く切ったりして自分にフィットする指揮棒を作る人もいます。

 

1960年代のトスカニーニやフルトヴェングラー、ワルターなどは、比較的長い木製のずんぐりした指揮棒を使用していました。ニューヨークのリンカーン・センター内にあるニューヨーク・フィルの本拠地エイヴリー・フィッシャー・ホールには、よく覚えていないけど、ワルターかトスカニーニのどちらかの指揮棒が展示してありました。

 

ベルリン・フィルの本拠地、ベルリン・フィルハーモニー・ホールには、現在の音楽監督のサイモン・ラトルの指揮棒が展示してあります。ラトルもどちらかと言うと短めの木製の棒で、グリップも、コルクではなく、木製でした。

 

1970年代の巨匠、カラヤンは、短めの白色、逆に、カール・ベームやバーンスタインは、長めの木目でしたね。

 

指揮棒の手元(グリップ)部分の形状も指揮者の好みで違います。

 

 

このブログの一番最後に、私が収集した指揮棒の中から特徴的なものの写真を掲載しましたので、それをもってご説明しましょう。

 

最上左の写真:

上) トスカニーニ、フルトヴェングラー、ワルターなどの往年の巨匠が使用していた指揮棒と同じタイプ

 

中) カール・べームや多くのヨーロッパ指揮者が今でも使用しているタイプ。手で握るの部分(グリップ)が細長で、滑り止めに薄くコルクが巻いてあります。

 

下) バーンスタインが使用していたのとよく似たタイプ(バーンスタインのはもう少し長めです。)。手で握るところが、丸まっていて指揮棒を落としたりしませんね。

 

最上右の写真:

上) 朝比奈隆と佐渡裕の指揮棒と同じタイプ。軽くてしなりがいいのが特徴。ヤマハで売っている安いものです。。。

 

中) カラヤンが使用していたのに似ているタイプ。1940年代のカラヤンは、もっと長い指揮棒でした。岩城宏之さんの指揮棒のグリップもよく似たタイプです。

 

下) 小澤征爾が使用していたものと同タイプ。最近、小澤は指揮棒を使わず素手で指揮してます。棒の部分は、木ではなく釣竿と同じ素材だとご本人がおっしゃっていました。往年のフィラデルフィア管弦楽団の名指揮者ユージン・オーマンディもこれと同じタイプの指揮棒でしたね。

 

 

たかが指揮棒、されど指揮棒です。

 

本当に指揮者は、指揮棒がないと指揮できないのか? いや、そんなことはありません。前述のとおり、小澤征爾は、ここ数年指揮棒を持たずに指揮しています。

 

指揮棒を持つことで、リズムを明確に刻めるという利点はあります。逆に、柔らかいニュアンスを表現する時には、素手の方が向いていることもあります。事実、合唱指揮者は、指揮棒を持つことは少ないです。また、オーケストラ指揮者でも、アダージョの楽章などで、指揮棒を指揮台に置いて素手で指揮する人もいます。

 

 

指揮棒も怖いんです。。。

 

と言うのは、昨年の暮れ、NHK交響楽団に客演したピアニストであり、世界的名指揮者のウラディミール・アシュケナージが、演奏中に指揮棒が折れて左手に突き刺さってしまうという事故がありました。

 

チャイコフスキーの交響曲第3番「ポーランド」は、そのままの状態で最後まで振り切りましたが、その後病院に向かい手当てを受けたそうです。本人は、ピアニストでもあり、怪我の具合を心配しました。

 

もっと怖いのは、指揮者かリハーサル中に怒って指揮棒を指揮台に叩きつけ、折れた指揮棒がオーケストラの団員に飛んでくることです。

 

今では、こんな場面はあまり出くわしませんが、昔は私も経験しました。指揮者のトスカニーニは、怒ると、指揮棒だけでなくメガネや腕時計まで投げていたと聞きました。

 

 

添付写真の下の左右2枚は、私が海外旅行時に収集した指揮棒の一部です。

 

新しい国や都市を訪れた時、何か音楽と関連付けて記念になるものはないかと考え、観光の途中で地元の楽器屋さんに行って、買い集めたものです。

 

ニューヨークのカーネギー・ホールの楽屋口の前にある楽譜屋さん、ジュリアード音楽院の近くの楽器屋さん、ウィーンの有名な楽譜屋さん「ドブリンガー」、ローマの楽譜出版社「リコルディ」、ベルリン、パリ、ロンドンなどなど。。。

 

傾向としては、やはりヨーロッパの指揮棒は、木製でスマートなものが多く、アメリカ製は、手の大きなアメリカ人向きの太いものが多いですね。

 

それにしても、現在世界を席巻しそうなのは、日本製のカーボンやグラスファイバー製の指揮棒ですね。海外で指揮棒を探していると、「高品質のものがあるよ」と店員さんから紹介されたら、日本製でヤマハで普通に売っているのと同じ(でもその国では、輸入ものなので、高い!)でがっかりすることも多いです。

 

ちなみに、カーボングラファイト製の日本の指揮棒(定価4,250円)を愛用している日本の指揮者には、私が知っているだけで、秋山和慶さん、尾高忠明さん、そして西本智実さんらがいます。

 

 

 

あんな、たった一本の棒きれで、100名もの演奏家を統率してすばらしい音楽を奏でる入り口になるのって凄いですね。

 

仕事でも、そんな魔法の棒きれあったらなぁ。。。

 

追伸) 先日、小学生の息子が、ハリーポッターの映画に出てくる"なんとかラビオーサ"と呪文を唱えて使う魔法の杖遊びをする時、私の指揮棒コレクションから一本取り出し、友達と遊んでいて折ってしまってました。

 

 

 


小金ちゃんと長浜ラーメン

今週、仕事で九州に出張し、福岡に立ち寄る機会がありました。

 

福岡と言えば、「屋台」。そうです、、、今回の遅い夕食は、福岡で超有名な屋台「小金ちゃん」に行ってきました。

 

「小金ちゃん」は、繁華街、天神に近い昭和通り(地元の人には、親不孝通り入り口と言った方が通じるかも。。。)にある小金丸進さんという方が長年やっている屋台です。

 

久しぶりにオヤジさんに会いましたが、70歳を過ぎていも、今までと同じように、店を切り盛りされてらっしゃいました。

 

屋台は、午前2時まで開いていると知ってはいても、仕事を終えて、宿泊先から「小金ちゃん」に向かう足取りは、何故かソワソワして早足になってしまいます。

 

定番の、土手焼き、焼きラーメン、ダシがよーくしみ込んだおでん、そして福岡名物のにらとじ(豚肉とニラを炒めて、卵でまぶします。)を注文し、芋焼酎のお湯割りで楽しみました。

 

この屋台の特徴は、サラリーマン風のオジサンだけでなく、若いカップルや、女性グループ、ご年配のグループなど、お客さんが多彩なこと。それくらい、みんなに愛されているお店なんですよね。

おやじさんの博多弁のやさしい一言で、焼酎も進みます。なんか、アットホームで、ホッとする場所です。

 

本当は、ここで、博多ラーメンで仕上げをすればよいのでしょうが、ここは、私のこだわりとして、「小金ちゃん」を後にして、親不孝通りの24時間営業のラーメン屋さん「元祖長浜屋」で、長浜ラーメンをいただきました。

 

このお店は、九大の学生時代から通っているラーメン屋です。何と言っても、安い!!! 今も、ラーメン1杯400円、替え玉50円。貧乏学生の強い味方でした。

 

お店の引き扉を、ガラッと開けると、お店の店員さんが、すかさず「新規1杯」と厨房に注文を入れます。そうです。ここのメニューはいたってシンプルで、単品のラーメンだけなのです。

 

そのオーダーの声を聞いたらすかさず、「メンカタね。」と。これは、「麺を硬くてください。」の意味です。(柔らかい麺がいい方は、そのまま何もつぶやかなくていいですから。)

 

人によっては、メンカタのはるか上をいくメンナマ(さっと湯に通しただけ)を注文する人もいます。

 

お店に入ってからラーメンが出てくるまでの早さは、吉野家の牛丼以上です。

 

好みに応じて、紅しょうがとゴマと胡椒を入れて、さあ、いだきまぁぁぁぁす。。。

 

この日、替え玉したかったですが、一緒に行った会社のメンバーに、諌められ、替え玉なしでホテルに戻りました。

 

満足した福岡の夜でした。。。

 

さて、音楽のお話。。。もう、今日は満腹ですから、いいですよね。。。

 

フォト・アルバムの写真集「小金ちゃんと長浜ラーメン」もご覧になってくださいね。

 

 

 

 


女性の活躍

日本でも、女性の社会進出が目覚しくなりました。

 

企業では、法整備も背景にして、「ダイバーシティー」もしくは、「ジェンダー・システム」と言って女性が活躍できる機会を増やそうということが、大きなテーマになっています。

 

当社でも、"Women’s Conference"という社内イベントを、女性社員約300人と、役員やマネジャーも参加して都内で開催しました。

 

(株)イー・ウーマンの佐々木かをり社長など多彩なゲストをお迎えして、活躍する女性を支援するための貴重な議論が展開されました。

 

先週、当社で協賛させていただいている早稲田大学IT戦略研究所(根来教授)主催のエグゼクティブ・リーダーズ・フォーラム(ELF)に参加させていただき、「日本企業の経営進化とジェンダーシステム」をテーマに多くの企業経営者の方々と勉強させていただきました。

 

その時伺った話では、米国フォーチュン500社の1996年から2000年の企業業績を分析すると、女性役員がいる会社は、同業他社と比較して、株価をはじめとする財務諸表が優れているという相関関係があるそうです。興味深いデータですね。。。

 

ちなみに当社も、皆さんがお使いのこのMSN事業の執行役は女性ですよ。(塚本さん、ごめんなさい。勝手に紹介しちゃいました。)

 

 

 

 

さて、音楽の世界を見ると、男女差ってないですよね。世界的な音楽コンクールも性別関係なく挑戦し、受賞していますよね。年末恒例の日本レコード大賞も男女の区別ありませんし。

 

私の好きなチェロでも、英国のジャクリーヌ・デュ・プレをはじめ、斉藤秀雄門下の藤原真理さん、山崎伸子さん、そして、大好きな長谷川陽子さんなど、すばらしい女流チェリストがいます。

 

指揮者の世界でも女性が活躍しています。かつて小澤征爾さんも優勝した仏ブザンソン指揮者コンクールで、1982年に女性として史上初めて優勝した松尾葉子さんもその一人です。

また最近、日立製作所の広告にも登場している指揮者の西本智実さんもチャイコフスキー財団・ロシア交響楽団の芸術監督・首席指揮者としてロシアを中心に活躍されています。

 

 

 

 

実は、昨年夏、大阪で開催された全国アマチュア・オーケストラ・フェスティバルに参加して、ムソルグスキー作曲ラベル編曲「展覧会の絵」で、私は主席チェロ奏者として、西本智実さんと共演させていただきました。

 

西本さんは、リハーサルからオケと強い信頼関係を築くことに注力し、音楽を大きな流れでとらえ、オケの持てる力を最大限に引き出そうとされていました。舞台で演奏していても、とても楽しい演奏会でした。

 

また、このフェスティバルの歓迎演奏では、大阪府の太田房江知事が、モーツァルトのピアノ協奏曲第21番の第一楽章のピアニストとして出演されました。

 

堂々として、アマチュアとは思えない、とてもチャーミングなモーツァルトを披露してくださいました。

西本さんも大阪出身ですし、ナニワの女性パワーは凄かったです。。。

 

 

 

 

さて、「展覧会の絵」のCDですが、、、

 

もともと、ムソルグスキーがピアノ曲として書き上げたものです。それを、音の魔術師モーリス・ラベルが編曲したものが最も一般的ですが、指揮者のストコフスキー編曲版も、フル・オーケストラを自在にあやつり面白いです。

 

また、変ったところで、2002年に発表されたジュリアン・ユー編曲の室内オケ版も、ユニークです。これは、岩城宏之指揮オーケストラ・アンサンブル金沢のCDが発売されています。

 

前述のチェロの長谷川陽子さんがアコーディオンとのデュオで録音した「展覧会の絵」も、彼女のすばらしいテクニックと音を楽しめます。

 

 


スマトラ島沖地震津波災害復興支援チャリティコンサート

昨晩、スマトラ島沖地震津波災害復興支援チャリティーコンサートに行ってきました。

 

仕事でお世話になっているMさんの奥様が急遽いけなくなったということで、チケットをお譲りいただきました。(Mさん、本当に有難うございました。終演後の、有楽町ガード下の焼き鳥もウマかったですね。。。)

 

指揮者の小澤征爾さん、飯守泰次郎さん、大友直人さん、外山雄三さんが、この日のためにNHK交響楽団や新日本フィルハーモニー交響楽団をはじめとするプロ奏者がポランティアで参加し特別編成されたオーケストラを振ってのコンサートでした。

 

東京国際フォーラムの5,000名収容のホールAでの開催ということもあり、、クラシック音楽会の音響としては今ひとつという感はありましたが、バラエティーに富んだプログラムを楽しめました。

 

特に、4人の指揮者によって出てくる音の違いが明確でしたね。

 

冒頭の飯守さんによるワーグナーの「ニュルンベルグのマイスタージンガー」第一幕への前奏曲は、テクスチャーも明確で、飯守さんは「旬の指揮者」としての実力が発揮されていました。

 

小澤さんが一段と大きい拍手に迎えられて舞台に登場し、バッハのG線上のアリアを演奏。オケのメンバーもちょっと緊張気味に、それまでにない気合を感じました。特にバイオリン群がピアニシモの生命感を見事に表現。これも、小澤さんの指先からテレパシーのように団員に音楽が伝えられたからでしょう。

 

それにしても、コントラバスは、音量、音質、アインザッツともがさつで、小澤さんをもってしても、改善の余地なしって感じでした。

 

外山さんは、年取りましたよね。昔、広島で、外山さんの棒で、ブラームスの交響曲第4番を演奏した経験がありますが、その頃の躍動感は感じられなかったのは、私だけでしょうか。。。

 

今回のコンサートの出色は、樫本大進さんのバイオリン・ソロと須川展也さんのサキソフォンでした。

 

樫本さんのフォーレ"夢のあとに"のビブラートの七変化は、同曲がチェロの曲であっただけに大変勉強になりました。

 

また、日本を代表する須川さんのサックスによるピアソラの「アディオス・ノニーノ」(ピアソラが亡くなった父親を偲んで作曲した曲)は、全てにおいて大満足でした。

 

 

 

 

さて、コンサート終了後、コンサートの余韻に浸りながら軽くお食事って、いいですよね。

 

多分、シャンパンと少量のフレンチかイタリアンというのがお洒落なのでしょうが、ここは一風変ったお店をご紹介します。(多分、誰も賛同してくれないかもしれないのですが、私が大好きな場所です。)

 

有楽町の東京国際フォーラムや赤坂のサントリーホールの帰り、安くて、ウマくて、気楽なお店。。。

 

まずは、銀座のおでんや、「お多幸」。熱燗とおでんは、寒い冬には最高ですね。お寿司屋さんでネタを注文するのと同じように、おでんにも、ネタ注文の順番ってものがあります。これも、自分のポリシー?

 

私は、いつもこんにゃくと豆腐と大根の三品からスタートです。

 

さて、次は、銀座のたこ焼きのお店、「たこ八」。削り節と青海苔がないのが残念です(代りに、明石焼き風のたれが付いてきます。)が、大きな蛸の入ったたこ焼きを焦って口に放り込んでヤケドしないようにしてくださいね。

 

そして、最後は、究極のC級グルメ。。。新橋の立ち呑み「大友」。もう、7年のお付き合いです。

 

立ち呑みと言って、侮ってはいけません。

 

徳島名産の生すだちを絞ったすだちチュウの後は、コップ酒の熱燗。つまみは、マグロの中落、豚軟骨が小さく刻んだものが入っているつくねの焼く鳥、九州名産の柚子胡椒を入れて隠し味のごま油が効いた鳥皮ポン酢が代表作。来店客もオヤジだけでなく、若いグループや女性も居ていつも賑やかです。

 

 


ロイヤル・チェンバー・オーケストラ定期演奏会

本日、紀尾井ホールで、Microsoft Presents ロイヤル・チェンバー・オーケストラ(以下RCO)の定期演奏会がありました。昨年4月から、当社の社会貢献の一環として、「音楽世界紀行」と題して、毎回、特定の国にまつわる音楽を取り上げて、特別協賛させていただいているイベントです。

 

昨年11月の<チェコ編>では、高円宮妃殿下とチェコ大使館全権特命大使ご夫妻らを、ご来賓にお迎えして、世界的チェリストのミーシャ・マイスキーによるドボルザークのチェロ協奏曲などのプログラムで大成功を収めました。

 

 

今回は、<アメリカ編>。

 

当企画に携わるスタッフの一人として、今回のプログラム構成には悩みました。

 

結局、

 

アイブス:ニューイングランドの3つの場所
ガーシュイン:アイ・ガット・リズム変奏曲
ガーシュイン:ラプソディー・イン・ブルー

 

休憩を挟んで、ハリウッド・スクリーンミュージック・セレクションと題して、

 

80日間世界一周
スター・ウォーズ組曲
ハリー・ポッター
ロード・オブ・ザ・リング
ET
マイ・フェア・レディ

 

そしてアンコールに、

ミュージカル「オペラ座の怪人」
「風と共に去りぬ」から、タラのテーマ

 

という豪華プログラムでした。

 

 

指揮者の堤俊作氏には、このブログに、写真も掲載して、私が感想を書きますよと了解をいただきました。

 

今回のプログラムのミソは、アメリカを代表する現代作曲家アイブスの小品、ジャズの要素を取り入れたガーシュインの代表作、そして映画音楽と、3つの違うタイプの曲目を、コントラストはっきりと構成して並べてみました。

 

 

アイブスは、いきなり聴くには、結構大変な曲だったでしょうね。事実、演奏が終っても、どこで拍手していいか、お客様も困っていたみたいです。RCOは、弦楽器がいつもより小編成でしたが、アメリカ北東の洒落た田舎町を思わせるしっとりとしたいい演奏でした。

 

ガーシュインは、最年少で東京芸大の助教授となった青柳晋氏をピアノ・ソロに迎えての演奏。私は、初めて青柳氏のピアノを聴きましたが、力強く明確なタッチと、叙情あふれる音楽観に、感激しました。日本人で、ここまで、ガーシュインを遊び心を持って聴かせるピアニストっていなかったかも。青柳氏は、明日からヨーロッパ演奏旅行だそうです。お気をつけていってらっしゃいませ。

 

ラプソディー・イン・ブルーの冒頭の思わせぶりなクラリネット・ソロの西尾郁子さん、お見事でした ! コントラバスのリズミカルな、手板に弦をバチバチあてるピチカートも豪快で、生演奏の醍醐味を見せていただきました。オケも、いつものベートーヴェンやモーツァルトと違って、心なしかリラックスして愉しんでいるようでした。

 

さて、後半プログラムのハリウッド・スクリーンミュージックは、心の底から楽しめました。よくここまでの多彩な楽譜を揃えられたものです。(企画時点では、詳細な曲目は決まっていなくて、楽譜を取り寄せてどんな編曲になっているかチェックしないと、使えませんでしたから。)

 

本番では、一部金管楽器が、力んで、音をはずした場面もありました(曲によっては、ゲネ・プロの方が良い出来のものもありました。)が、全体観として、生き生きとした素晴しい音楽がホール一杯に広がっていました。

 

指揮者の堤氏のアプローチは、映画音楽だから映画のストーリーに沿って曲のイメージを創るというより、ストラビンスキーやホルスト、時には、チャイコフスキーのバレエ音楽のように、各曲をシンフォニック・オペラのごとく、まっ正面から取り組んで、オケの魅力を最大限に引き出し、スペクタキュラーな演奏を展開していました。1stヴァイオリンが、4プルト(8名)と、いちもより少なめの編成でしたが、豪快な金管とパーカッションに負けていないみずみずしい響きが表現されていました。さすが、コンマスの西野ゆかさんは、ウマい !

 

特に、圧巻だったのは、マイ・フェア・レディです。この曲は、指揮者でもあるアンドレ・プレヴィン(現在ピックバーク交響楽団の指揮者として活躍)の曲だったという事実は、あまり知られていません。堤氏は、お得意のチャイコフスキーのバレエ音楽<眠れる森の美女>のように、ニュアンスたっぷりの素敵な演奏を聴かせてくれました。

 

 

次回は、今年5月22日(日)に、今回と同じ紀尾井ホールに、東京クァルテットを迎えて、初めて東京クァルテットの4人が、2人ずつ別々に演奏するという話題付きです。

 

よろしかったら、日曜日の午後のひと時、すばらしい音楽でご一緒しませんか。

 

ロイヤル・チェンバー・オーケストラ定期演奏会オフィシャルサイト: http://rco.msn.co.jp/

 


讃岐うどんと世界のオザワ

3連休ですが、いかがお過ごしでしょうか?
2月13日は、当社が特別協賛しているロイヤル・チェンバー・オーケストラの定期演奏会です。

 

今回のアメリカ編を、大変楽しみにしています。

 

 

私の音楽履歴書も、大学卒業まできました。
社会人としてのスタートは、四国・高松での新入社員から始まります。

 

高松といえば、讃岐うどん。最近東京でも、ブームを巻き起こしましたが、本場物はやはり違いますよ。
町の各地に、小さな名店があります。

 

私が個人的に好きだったのは、JR高松駅行内の立ち食いうどん。
当時は、プラスティックの丼にうどんを入れてもらって、JR車内に持ち込んで食べられました。

 

それから、高松市内の日赤病院裏にあるセルフ・サービスのうどん屋さん(名前覚えていませんが、何度か雑誌で紹介されていました。)

 

また、瀬戸大橋が出来て廃止となった宇高連絡船(岡山県の宇野と香川県の高松を結ぶ瀬戸内海を走る連絡船)の中で食べるうどん。海風を受けながら、丼持ってすするうどんは最高でした。

 

 

高松でも、やはり音楽がやりたくて、高松交響楽団(http://www.symtop.org/tso/)というアマチュア・オケに所属しました。

 

大学時代は、毎日8時間くらいチェロを弾いていた私でしたが、当然社会人になると平日は、仕事で楽器を弾く時間はありませんでした。1日練習しないと、3日分実力が元に戻ると言われていただけに不安でしたね。

 

高松交響楽団(高響)は、四国にプロ・オケがないこともあり、地元の皆さんから愛される我が街のオーケストラ的に存在でした。

毎年年末恒例で香川県下にTV放映される「第九」、炎の指揮者コバケン(小林研一郎氏)とのベルリオーズ幻想交響曲、飯守泰次郎氏(現東京シティー・フィルハーモニック管弦楽団常任指揮者)との創立40周年記念公演でのマーラー交響曲第2番「復活」など、思い出に残る演奏が数多くあります。

 

 

もうひとつ、、、生涯の伴侶を見つけたのも高響です。家内は、フルート奏者でした。

 

その家内から当時誕生日プレゼントにもらったのが、SONYから発売された指揮者小澤征爾のドキュメンタリー・ビデオ「OZAWA」でした。  フルート講師として勤めていた高松ヤマハで講師割引で安く買えたとのこと。

当時SONYベータ方式のビデオで、百回以上観て、全編英語のセリフでのシーンが目に焼きついています。

 

引越しを繰り返すうちにこのビデオどこかにいってしまったのですが、先日、私のプログを読んでくださった当社社員がVHSで再販されたこのビデオ(発売:大陸書房)を持っていると言って貸してくださいました。(Yさん、ありがとうございます!)

 

 

ビデオは、タングルウッド音楽祭でのマーラー「復活」の第2楽章アンダンテ・モデラートのシーンから始まります。Hanae Moriの白いステージ衣装に身を包んだオザワが、汗をポタポタ落としながら指揮しています。

 

途中、現在俳優としてTVや映画で活躍している息子、小澤征悦さんの小学生の頃の映像も出てきます。

 

音楽祭期間中開催されているマスター・クラスでのめずらしい指揮のレッスンもシーンもあり、ここでは、民音指揮者コンクールで優勝した十束尚宏さん(1月24日のブログ参照)が、オザワのレッスン中に、他の多くの学生の前で、泣き出すシーンもあります。

 

オザワの英語は、決して完璧ではないのに、150%自分の意図をどんな相手にも伝えられる魔力があるように思えます。氏の著書「ボクの音楽武者修行」(新潮文庫)にも強く表現されていますが、一人でも常に果敢に夢に向かって挑戦する姿は、決して私なんかでは真似できない高い志と強い意志と集中力の結晶だと思います。

 

故斉藤秀雄先生の教えを守り、それを発展させていったオザワ。サイトウ・キネン・オーケストラ設立において、桐朋学園オケのための斉藤秀雄編曲のバッハの「シャコンヌ」が流れる中、インタビューの中で「先生が、居るうちにやりたかった。」と涙を見せるシーンは、ジーンときます。

 

オザワの凄さは、私の人生の憧れです。

 

 

作中、チェロのヨーヨー・マとの昼食で、東洋人にとっての西洋音楽についてつっこんだ議論をし、ヨーヨー・マが「日本人は、和(チームワーク)を大切にし、自分の意見をあからさまに表現しない」という意見を述べます。この時点で、オザワは、「プライベートな会話だからカメラを止めてくれ」と言って映像はそこで終わります。

 

私も、グローバル企業で仕事をしている身として、日本人であることを意識します。そして日本人であることの誇りを感じていますが、時には、日本とグローバルの狭間で悩むことも少なくありません。でも、現在ウィーン国立歌劇場音楽監督を務める世界オザワのように、信念を持って進んでいきたいと思います。

 

 

ビデオ「OZAWA」は、ジェシー・ノーマンの唄うマーラー「復活」の第5楽章で幕を閉じます。オザワが、両手を大きく振り上げた指揮の場面で、画像は静止し、「復活」が高らかに幕を閉じます。この両手こそ、オザワの全てなのですね。

 

 

私は、ニューヨーク在住時代、何度も、ボストン近郊の夏のタングルウッド音楽祭に行きました。1996年には、そこで、このビデオで取り上げられてるマーラー「復活」も、オザワの指揮で聴く(観る)ことができました。

 

下の写真は、家族でタングルウッド音楽祭に行った時、終演後、小澤征爾さんが長女(当時小学校3年生)と一緒にカメラに収まってくれたものです。

 

 


行きつけ「味珍」

 

10日間ばかりこのブログをご無沙汰しておりました。。。 この間、当社社員を含め、いろんな方から「ブログ止めたんですか?」、「サボらないで、書いてくださいよ。」、「仕事忙しくて書けないの?」なんていうお話を頂き、いろんな方に読んでいただてるんだなぁと嬉しく思いました。 正直、ただ、ただ仕事が忙しさにかまけて書く暇がなかっただけですので。 これからいろんな写真も掲載しようと、この一週間で取材(?)ならぬ、遊び気分で写真も自分で撮ってみたのでこれからビジュアルにしたいと思います。  

昨日帰宅したら、HMVレコードで注文していたCDが届いていました。今回は、 

  • ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団のシューマン交響曲全集
  • ロリン・マゼール指揮クリーヴランド管弦楽団のブラームス交響曲全集
  • ジョージ・セル指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団のブルックナー交響曲第8番(1952年6月のライブ録音)
  • 宇野功芳指揮日本大学管弦楽団のブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」
  • 野口剛夫主催エレクトーン演奏によるブルックナー交響曲第8番&9番

それにしても、なんと節操のない買い方なんでしょうね。ほとんどオタク的なCDコレクションとなってきました。夫々のCDに哲学と主張があるので、私の音楽批評は、じっくり聴いた後に譲ります。  

先週末も、横浜のタワー・レコードで、以前このブログでご紹介したことのある、朝比奈隆指揮大阪フィルハーモニー交響楽団の1972-1973年のスタジオ録音による”初の”ベートーヴェン交響曲全集のCD(レーベル:学研)を偶然見つけて懐かしくなって購入してしまいました。 20年以上前に大学のO先輩に貸したLP全集は、未だにシンガポールのO先輩宅に眠っているはず(?)なので、私にとってこの全集とは、20年振りの再会ということになります。  

(これ以外にも、ディディエ・スキバンのピアノ・ソロのジャズ・アルバム「PORZ GWENN」と、イージー・リスニングでお馴染みの「イマージュ エッサンシャル」などを購入しましたが。気分転換にはイイですね。)  

朝比奈のベートーヴェンは、後年のライブ録音と比べると物足りなさが残る方もいらっしゃるかも知れませんが、ライブにありがちな演奏上のキズもなく、音楽に奥行きがあって堂々として、往年のドイツのオケのような頑固者の音楽が構築されています。 久し振りに聴き直すと、録音もシャープになっていて、なかなかのものでした。大手レーベルが挙って朝比奈隆を持ち上げる以前に学研が、このベートーヴェン全集をリリースしたこと自体、これぞ音楽プロデューサーの信念ですよね。  

何故、CDをオヤジ買いしてしまうのか。。。私がCDをまとめ買いするときには共通点があります。それは、横浜西口にある、とあるお店で呑んだ後ということです。それでは、それがどんなお店か、こっそりご紹介しましょう。。。   

    

JR横浜駅西口の先にある狸小路飲食街にある「豚の味珍」は、もう40年以上営業しているサラリーマンのオジサン達の強い味方です。 私も心休まる隠れ家的に利用しています。豚足というとグロテスクな印象をお持ちでしょうが、コレがなかなかイケルんです。私は、8年前に偶然見付けて以来、通い続けています。今では、「常連さん」として認めていだけるようになり、夜な夜なチビヂビと焼酎と独特な豚料理を、サラリーマンのオヤジ風情をして、一人で楽しんでいます。  

支店1階の小川さんとは、長い付き合いになりました。狭い店内は、10人も入れないくらい。いつも、常連さんが一人でフラッと訪れては、小川さんやお隣に偶然座ったお客さんとのたわいも無い会話でひと時を過ごします。 常連になると、座ったとたんに「やかんでいい? お茶は?」という小川さんの一言で始まります。ここでいう「やかん」とは、25度の焼酎のことで、写真のように、「やかん」からそれぞれのコップになみなみと注がれるので、こう呼んでいます。 昔、開店当時、カウンター越しにお客さんのコップに焼酎を注ぐのが大変だったことから、昔懐かしいアルミのやかんにあらかじめ焼酎を入れておいて注文に応じてコップに注いでいたところからこう呼ばれています。(今は、進化してごランのとおりのアラジンの魔法のランプみたいな形の「やかん」に変わりましたが。) 

ここには、焼酎のお湯割りも、レモンハイもありません   焼酎を、生で呑むか、中村カイロ協会(ちょっとあやしい名前ですが。)のウーロン茶の缶で、自分でウーロン割りにするか、無料の梅シロップをいれてちょっと甘い香りをつけて呑むかです。まず、やかんを1杯コップに注がれたら、食べ物の注文です。豚の頭、舌、耳、足、胃、尾の中から一皿注文です。(どれも700円。安い!!!)  

小川さんが、「はいよっ」と言って注文を受けてくれたら、皿で出てくるまでに、薬味作りです。まず、小皿に、なみなみと和辛子を入れて、酢でよく溶きます。そして好みによって、少量のしょうゆ、おろしにんにく、七味唐辛子入りのラー油を小皿に落とします。この間、約30秒。そして、薬味が出来上がったら、ゆっくりと焼酎をすすって、皿(料理のことをこう呼びます。)が出てくるのを待ちます。  

いつものように「ハイ、お待ちどう。」と言っている小川さんから、カウンター越しに皿を受け取ったら、さあ至極の時の始まりです。暫くしたら、皿を食べながら、おもむろに、辣白菜というさっぱりした白菜の漬物でお口直し。 豚料理には、コラーゲンが多く含まれており、肌にいいと言われますが、加えて骨や内臓にもいいらしいです。(こうやって理由をつけて、味珍にいくことを正当化している?)  

小川さんとのお付き合いは、もう8年近くなるんですが、2度目のニューヨーク赴任の際、単身赴任で寂しかったし、味珍が忘れられず、お店にお願いして、ここで売っている焼酎の大型ビンと、使っている味わいのある分厚いコップと、コップに溢れる程注がれる焼酎を受止める小皿をセットで譲っていだき、ニューヨークまで持っていった経験もあります。(その節は、お世話になりました。。。) 今でも、海外出張から帰国するとその足で、成田空港から成田エクスプレスで、横浜途中下車して、味珍に通っています。

先日、タワーレコード横浜モアーズ店から、注文しておいたヘルベルト・ケーゲル指揮によるブルックナー交響曲全集の輸入盤が入荷したって連絡あったので、今から、豚足食べに行ってから寄ってみましょうかね。。。

注) お店のご紹介ならびに写真掲載については、味珍さんのご承諾をいただいています。