人生を豊かにする音楽・居酒屋・旅にまつわる気ままなブログ

1月, 2010 のアーカイブ

ミュンシュの「幻想」大爆発

 
オーディオ・セットを新調したのでCD/DVDを楽しむ時間が増えた。マーラー生誕150周年記念の今年は、惜しくも昨年他界した若杉弘が東京都響と制作した交響曲全集と順番にじっくりと向かい合いたいと考えている。それは聴き終えたらまたこのブログで紹介するとして・・・本日はシャルル・ミュンシュがパリ管弦楽団発足の演奏会で演奏したベルリオーズの「幻想交響曲」を紹介する。ひと言で言って、フランス音楽史上歴史に残る大爆発の《幻想》なのだ !!! 
 
 
 
ミュンシュの十八番である《幻想》にはボストン響との2種類の録音(私は残念ながら聞いていない)と共に愛聴している1967年のパリ管弦楽団とのセッション録音がある。実はコレは発売された時にはパリ管弦楽団でよいのだが、録音した時はまだパリ音楽院管弦楽団だったのだ。その録音の1ケ月後に当時のド・ゴール政権の肝入りで「フランス音楽の威厳を輝かす」ためにパリ音楽院管弦楽団を発展解消し新たに優秀な楽員を募集して正式発足したのがパリ管弦楽団である。その創立記念コンサートの生々しい模様がこのCDで聴けるわけであり、私でなくとも興奮する方は多いはず。ミュンシュ自身は初代音楽監督として指揮台に立ったこのコンサートのちょうど1年後に他界してしまうわけで、何とも運命的な記録なのだ。その演奏は・・・強引なアゴーギグに必至に付いてくるパリ管の楽員、第2楽章でのミュンシュの雄叫び、第5楽章の何とも気だるい鐘の音がむしろライブ間感覚を刺激し、終楽章コーダの執拗なフェルマータ・・・当に変幻自在、悪魔のステップ、強烈な興奮と凄味。。。波乱万丈な異彩を放つ歴史的名演だと思う。小澤征爾が最も尊敬した指揮者のひとり、ミュンシュはフランスの人間国宝でしょ。
 
 

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音楽の友社2009年度(第47回)レコード・アカデミー賞を振り返って

 
好例の音楽の友社主催のレコード・アカデミー賞が先の「レコード芸術」2010年1月号で発表となった。一年間に国内盤として発売されたディスクという前提により一部対象とならないCD/DVDもあるが、自分自身の視聴評価と比較するのも楽しい。
 
注目の交響曲部門ではシモーネ・ヤング&ハンブルグ・フィルによるブルックナー交響曲第8番が選ばれたが、これにはちょっと異論がある。もちろん素晴らしく充実した演奏であり確信犯的な1887年第1稿の使用も興味深いが何故か私には作品に対する命がけの覚悟が感じられないのだ。それなら評論家宇野巧芳氏が推すカラヤン&ベルリン・フィルのブラームス交響曲第1番のロンドン・ライブ(2009年1月13日のブログで紹介)か朝比奈隆&東京都交響楽団のの同作品(2009年1月12日のブログで紹介)の"激突"(宇野氏)に一票と投じる。同じブルックナーであれば、ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートで元気な姿を見せてくれたフランスの巨匠ジョルジュ・プレートルがウィーン交響楽団を振った交響曲第8番(2009年7月20日のブログで紹介)の鬼気迫る凄さを取りたい。もしこれらのディスクが受賞しなかった理由が「前年度に同指揮者がレコード・アカデミー賞を受賞しているから」(小石忠男評)というなら残念なことだ。いいものはいいんだから。
 
   

 
今回の受賞作品の中で私自身心から愛し賛同するのが、音楽史部門の中野振一郎(cemb)による「女王の祭壇-パーセル作品集」と現代曲部門の秋山和慶指揮の「三善晃/交響四部作」の2セットだ。中野振一郎のチェンバロは昨年生誕350年を迎えた英国の作曲家ヘンリー・パーセルの作品からまず選曲のセンスが光る。加えて中野の知的で鮮やかな演奏は聴き終えた後も心地よい余韻に包まれる。三善晃の鎮魂の四部作は哲学的でかつ詩的であり、指揮の秋山和慶とチェロの堤剛の三善晃に対する深い敬愛が作品を支える。東京交響楽団と大阪フィルの2つのオケで2枚に分けて同四部作が収録されているところにも注目したい。
 
特別部門(ビデオ・ディスク)はクラウディオ・アバドとルツェルン祝祭管弦楽団の「ロシアン・ナイト」が受賞している。グリモーをソリストに迎えたラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の直向きさに感動した。ライブでこれだけクォリティーの高い演奏が一発勝負で出来るところが本当の芸術家なんだろう。ストラヴィンスキーの「火の鳥」の終曲の7拍子をアバドは昔は3+2+2を三つ振りしていたがこのDVDでは7つ振りしていたのも興味深かった。  
 
 
 
私としてはマタチッチの最後の来日時のNHK交響楽団とのブルックナー交響曲第8番(1984年録画)のDVDが再発売で対象外となっていたのが残念だが、この演奏については別の機会にこのブログで触れたいと思う。
 
 
 
 
 

村上春樹の描く音楽

昨年ベストセラーになった村上春樹の「1Q84」は久し振りにドキドキしながら読み進んだ。BOOK 3の発売が待ち遠しい。 これまで聴いたことのなかったヤナーチェクの「シンフォニエッタ」にも出会えたし。そういう意味で村上春樹は音楽を作品の中に上手く挿入して文間の景色に微妙な隠し味をつけているように感じる。

1Q84 BOOK 1  1Q84 BOOK 2  

年末の大掃除で村上春樹の「ノルウェイの森」の文庫本上下巻が見つかった。時間もあったのじっくり読み返した。ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビー」は主人公が直子の部屋で繰り返し聴く時間の流れにぴったりだし、レイコさんのギターで弾くバッハも静寂の中からの繊細さが感じ取られる。カール・ベームがバックハウスと協演したブラームスのピアノ協奏曲第2番の超名盤まで登場するのには驚いた。読んでいてふと石川達三の「青春の蹉跌」を思い出した。主人公ワタナベ君の一人称の文章は大好きなサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」にも通じるような気がする。そう言えば村上春樹バージョンの翻訳も出版されているからまた読んでみよう。

 ノルウェイの森 上 (講談社文庫)  ノルウェイの森 下 (講談社文庫) 

 

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居酒屋探訪-33: 大阪「明治屋」

 
2010年初の居酒屋探訪は大阪・阿部野の「明治屋」。ある知人から音楽ブログなのに居酒屋、B級ネタが多すぎるとのお小言も頂戴したが、まあいいじゃないか。明治13年(1880年)に酒屋で創業し、その後居酒屋になった伝統の老舗。その風格は店構えとカウンターの杉白木でわかる。店の前の通りには今もチンチン電車が通っている。これもまた風情ってもんだ。
 
 
 
緊張の面持ちで満席の店内に入り暫し観察。これは期待できる。酒飲みの天国。黒ビール小瓶で喉を潤した後、ご自慢の熱燗にスイッチ。薄い透明ガラスの徳利がシンプルでテーブルの上のおつまみを邪魔せず寄り添う感じ。まずは、おひとやかに二杯酢に横たわるきずし(関東の〆鯖の親類)がことのほかウマい。これに湯豆腐、なまこ酢、河豚皮ポン酢をテーブル席で一気に注文。この後カウンター席が空いたので移動させてもらった。まさにS席かぶりつきって感じで店員さん(お母さんと呼んだら、おねえさんと呼びなさいと叱られた)とのコミュニケーションも取りやすい。
 
何本熱燗頼んだだろう。。。そのあと数々のおつまみを注文し、仕上げは千枚漬け。これが美味なのだ。熱燗と千枚漬けのツーショットがイカスでしょ。これだけでも絵になる。こういう居酒屋でひとり静かに酒と向き合う背中がカッコいい中年オヤジになりたいもんだね。
 
 
 
 

Ballet Art KANAGAWA 2010

 
(社)日本バレエ協会関東支部神奈川ブロックの自主公演Ballet Art KANAGAWA 2010で今年も神奈川県民ホールで我が俊友会管弦楽団が伴奏した。2007年の「眠れる森の美女」以来、「シンデレラ」、「白鳥の湖」に続いてこれで4年目となる今年は、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」全幕だ。指揮はバレエ音楽の第一人者でもある俊友会管弦楽団音楽監督の堤俊作氏。私は仕事の都合で降り番となったが、12月に八王子で同作品を複数回実演しているだけにオケとしても準備万端だ。
 
          
 
物語は皆さんよくご存じだろうが、オケピットで演奏していてもユーモラスで変化に富んだ舞台が気になって。特に第1幕第2場のふくろう時計が12時を打ちならした後の「ネズミと戦争」のシーンは、舞台についつい目がいき思わず出違え弾き間違い・・・大反省。とても楽しい伴奏だった。それにしてもオケピットは暗くて老眼が始まった私には楽譜を見るのが辛い。。。一体何歳までチェロ弾けるのだろうか。

朝比奈隆新リリース

 
2010年も大ファンである朝比奈隆で幕を開けた。じっくりと聴きこんだのは昨年末にリリースされたベルリン・ドイツ交響楽団とのベートーヴェン交響曲第3番の1989年のライブCDと小兵大阪フィルとの86歳のバースディコンサートで取り上げたブルックナー交響曲第8番のDVDだ。
 
   
 
2009年の音楽の友社主催レコード・アカデミー賞で惜しくも朝比奈隆&東京都交響楽団のブラームス交響曲第1番(1996年録音)が選からもれたが、やはりマエストロ朝比奈隆の人気と実力は凄い。このベルリン・ドイツ交響楽団との「エロイカ」もオケの繊細なサウンドと朝比奈の愚直な姿勢が相対峙して手慣れた大フィルとは全く違うベートーヴェン観がかえって面白い。第1楽章で原譜と違いトランペットに主旋律を吹かせているのは記憶する限り朝比奈の原典主義では珍しく、オケの使用する楽譜のせいだろうか。
 
大フィルとのブルックナーは十八番。2年後のシカゴ交響楽団とのブルックナー交響曲第5番の実演映像とは比べ物にならないくらい指揮に活力があり若々しい。それにしても大フィルってこんなに下手だったっけ? 映像用の収録なので音のバランス仔細は分からないがこれをCDで発売したらもっと音響もよくなったのかも。
 
今年も未発表の朝比奈ディスクが発売されることを密かに期待してやまない一ファンである。。。
 
 
 
 
 

西宮えびすともりもと焼肉店

 
新春の恒例行事が兵庫県・西宮神社での十日戎だ。毎年1月10日の朝6時の開門と同時に一気に参道を走る福男を決めるTV報道でもお馴染みかもしれない。商売繁盛の神様としてこれで10年以上会社の同僚を引き連れて通い続けているが、ご利益はホントウに有り難い・・・
 
普通は福笹が有名だけど、私はここ10年ずっとダルマを買っている。ずっと同じお店で買っているのでダルマ屋のおやじさんもおかみさんとも顔なじみになった。今年も前年のご利益のこ報告をしてダルマを納め新しいのを受け取って声高らかに二本締め。写真後ろの両目が入った2つが昨年買ったもので手前4つが今年買ったもの。
 
 
 
参道は賑やかな屋台が立ち並ぶ。いか焼き、ベビーカステラ、サザエのつぼ焼き、アユの塩焼き・・・うーん、ウマそう。でもここはぐっとガマンして、参拝の後毎回通う神社からすぐ近所のもりもと焼肉店に直行。初めてお店に行ってから今年で22年になる。阪神大震災できれいなビルに建て替わったが、親父さんは今年も元気だった。
 
 
 
ここは何を食べてもウマいので、あれこれ注文しなくてもお任せで安心して食べられる。でもイチ押しは↓の写真の特上ロース。まさにステーキ肉なのだ。表面をしっかりと炙って中はレアで、塩コショウしてあるのでタレにつけずそのまま頂く。初めて食べた人はみんなその美味さと迫力に驚くはずだ。
 
東京在住の私にとっては年に一度の楽しみ。親父さん、今年も一年間元気でね・・・また来年来ます!!!
 
 
 
 
 
 
 
 

ウィーン・リング・アンサンブル

 
謹んで新年のお祝いを申し上げます。今年の正月は家族旅行にも行かず自宅でのんびりしたこともあり、何年か振りにウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートを生中継で楽しんだ。一緒に観てた今年80歳となる実父は、ジョルジュ・プレートルの85歳と思えない若々しい指揮振りに完敗って感じたった。
 
ウィーンの新春の晴れやかな雰囲気を日本でも楽しめるのが、今年20回目の来日となったウィーン・リング・アンサンブルによるニュー・イヤー・コンサートだ。仕事でご一緒しているアクセンチュア(株)のご招待でサントリーホール小ホールでの公演に行ってきた。ウィーン・フィルのコンサート・マスターであるライナー・キュッヒルを中心にクラリネットのペーター・シュミードルなど超一流メンバーによる室内アンサンブルでウィーンの香りを心から楽しんだ。往年の正確無比な音程と比べるとちょっと怪しいところもあったけど、大編成オーケストラによるワルツやポルカでなく、まるでウィーンの街角やホイリゲで愉しむようなアットホームなステージは心底楽しい。招聘元の梶本音楽事務所の梶本社長もいらっしゃってて数年振りにご挨拶。なんとこのブログを時々覗きに来てくれてるって伺い感激。(最近、居酒屋ネタが多くなったねとのコメントも頂いちゃいましたが・・・)
 
終わってからのレセプションで出演者と記念撮影。ヴァイオリンのキュッヒル氏の奥様は日本人なので英語で話しかけたら日本語で返された。(そういえば、ウィーン・フィルの楽団員のかなりが日本人女性と結婚していて、そのために毎年里帰りを兼ねた日本ツアーがあるんだって聞いたことがある。) アクセンチュア社のロゴ入りサイン色紙(これはナイスなアイデア!)に順番にサインももらって。流石なアクセンチュア社のインテリジェントで大人なおもてなしに感謝です。程社長、どうもありがとうございました!!!