人生を豊かにする音楽・居酒屋・旅にまつわる気ままなブログ

2月, 2010 のアーカイブ

オーマンディの魔法の棒

 
先週は定例の役員会だけでなくリッツ・カールトンホテルでのイベントと記者会見もあり、その上に木曜日の夜にはモーツァルトとハイドンのシンフォニーを親しい仲間内で演奏して楽しむなど目まぐるしく忙しかった。そんな慌ただしい気持ちを和ませてくれる音楽が有難い。
 
今は、今年没後25周年を迎えた指揮者のユージン・オーマンディのDVDを鑑賞中。小兵フィラデルフィア管弦楽団との40年以上にわたる長期政権での演奏は、ストラヴィンスキーの《火の鳥》とラフマニノフ交響曲第2番という超豪華版。フィラデルフィア・サウンドと呼ばれたオケはすこぶる上手い。1977年と1979年の映像に登場する楽団員はモミあげたっぷりだったり、今では着ないだろう思うようなヒラヒラ付きのシャツなど当時のアメリカの世相も反映されている。
 
 
 
オーマンディは律義で、大袈裟に指揮棒を振りまわすこともない。へぇー、こんな振り方してたんだぁ。。。オーマンディの指揮棒は取っ手がぶっとくて特徴あることが映像でもよく分かる。ちょうど同じモデルの指揮棒が自宅にある(↓の写真)。小澤征爾も同じ形の指揮棒を使っていた。一説によると、オザワはフィラデルフィア管弦楽団に客演した際に当時の音楽監督室にあったオーマンディの指揮棒を黙って失敬してそのままその後も使っていたという。最近では下野竜也さんも同型の指揮棒を操っている。
 
 
 
オーマンディの魔法の棒で操られた見事なフィラデルフィア・サウンドは永遠に不滅だ。
 
 

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プレートルのブルックナー交響曲第7番

またもや素晴らしいブルックナーに出会うことができた。これこそ一期一会だ。。。ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートで近年お馴染みとなったフランス人指揮者、ジョルジュ・プレートルがベルリン・ドイツ交響楽団を振った交響曲第7番(ノヴァーク版)だ。朝比奈隆&大阪フィルのブルックナー交響曲第8番のDVDなどこの輸入代理店の東武ランドシステム㈱はなかなかいい企画をしている。プレートルは前作のブルックナー交響曲第8番でドラマティックでかつアグレッシブな演奏を聴かせてくれたので、今回の第7番に対する期待も高まる。そしてその内容は・・・このオッサンはインドの山奥で修行したレインボーマンか?と勘違いするほどの七変化で第8番とは異なるブルックナーに対するアプローチである。
 
 
 
ジャケットには「猛スピードで駆け抜けるブル7」との見出しがあるが、決してそうは思わない。もちろん通常の演奏と比較すると第1楽章が17分51秒というタイミングからして速いことは事実。その引き締まったシェイプはかつてのカール・シューリヒトを思い出す。しかし拙速・軽薄ではなく音楽そのものが凝縮しておりブルックナーらしい深みもしっかりとある。オケは超一流ではないにしろ見事に鳴っている。最後の音が鳴りやんでも暫く拍手は起きない。聴衆がその場を共有していることの幸福感をゴックンと飲み込んでからじわっと拍手がまき起こる。いい雰囲気だ。プレートルはよほど引き出しの多い指揮者なのだろう。次は第5番あたり出してくれると面白いんだが。。。
 
 
 

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居酒屋探訪-34: 王子「平澤かまぼこ」

 
所属する俊友会管弦楽団の5月定期公演のリハーサルが始まった。今日は南北線の志茂でオケの全体練習。JR王子駅で乗り換えて、これは遠いぞぉ。行く時には一目散だったので気付かなかったけど、帰宅途中に王子改札先の公園前に何やら怪しいお店発見。「平澤かまぼこ」と書いてある。チェロケース抱えて中を覗くと立ち呑みのおでんらしい。どおりでいい匂いがするはずだ。ちょうど女性客が一名入っておでんを注文していたくらいだから安心なお店だろうと思い一見で入ってみる。
 
       
 
店内にTV番組「ぶらり途中下車の旅」や「アド街ック天国」で取材された写真が飾られている。やはり銘店だったんだ。玄関口にはおでんが気持ち良さそうに大きな四角い鍋に浸かっている。これは期待できる・・・1962年に北区神谷でかまぼこ店を創業した先代を引き継いで1999年からここで自家製練りものでおでん屋を始めたそう。早速ケゾ揚げ(150円)とピリ辛(250円)の練りものとホクホクのだいこん(100円)を注文。飲み物は迷わず日本酒熱燗。ここでは都内唯一の酒造メーカー小山酒造の丸眞正宗の辛口(300円)を出してくれる。冷え切った体を真心こもったおでんと熱燗が癒してくれる至極の瞬間を楽しむ。これで800円は安い。この点は料理と酒と同様に重要なポイントなのが、店員さんも客思いでエラそうにしてないところがいい。
 
 
 
これは偶然イイ店見つけたゾ!!! オケの練習が遠距離のコッチ方面であっても楽しみが出来たな。。。
 
 
 

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日立創業100年の底力

 
土曜日に仕事でお世話になっている日立製作所の社員で編成された日立フィルハーモニー管弦楽団の第28回定期演奏会を聴きにすみだトリフォニーホールに出かけた。生憎の雨模様ではあったが多数の熱心なファンが詰めかけていた。指揮は新田ユリさんで北欧の音楽を得意としスウェーデンの作曲家ラーションの抒情的幻想曲で静かに幕開け。続いてブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」。私の最も好きな作品なのでついつい気持ちが入る。プログラムには記載されていなかったが明らかにハース版での演奏。この難曲に対してオケの健闘が光る。休憩後のメインはベートーヴェンの交響曲第4番。普段ならブルックナーをメインにするのが編成上も定石だろう。分厚いステーキ肉のブルックナーを堪能した後でお魚料理のようなベートーヴェンはどうだろうと思いきや、これがアマチュアとは思えない素晴らしい秀演。特にファゴットとフルートはお見事。日立の社員さんかなぁ。音楽を愛する気持ちにプロもアマもない。創業100年を迎える日立グループの底力を感じた。中島執行役専務、コンサートのご成功おめでとうございます。
 
     
 
休憩時にすみだトリフォニーホールで面白い展示を発見。私も演奏した経験あるけど、いいホールだよね。
 
 
 
 
 

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さよならドビュッシー

 
近所の本屋さんで「さよならドビュッシー」という第8回「このミステリーがすごい!」大賞を取ったハードカバーの鮮やかな表紙と意味深なタイトルが目に飛び込んできた。中山七里って誰が知らなかったけどデビュー作らしい。暇つぶしに読んでみようと買ったらこれが"かっぱえびせん"状態(ちょっと表現古くて恐縮ですが・・・)に陥り止まらないのだ。主人公のビアニストを目指す16歳の女子高校生の弾く演奏描写の凄いこと。音楽が時間の流れの中で成立する芸術であることを忘れさせない。ストーリーの大きなきっかけとなる火事のシーンでは気持ち悪い程怖くなる。そしてミステリーの"超絶技巧"が奏でる大逆転の結末は・・・読み始めたら止まらないので、翌日早起きしないといけない方は要注意ですぞ。
 
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ちかしオーケストラFinal

昨年享年69歳で他界された元NHK交響楽団コンマスで日本のコンサートマスターの草分けであった田中千香士を偲ぶ「ちかしオーケストラ」コンサート(於東京芸術劇場)に出かけた。広上淳一の棒でベルリオーズ「幻想交響曲」1曲というプログラム。午後8時開演は平日仕事を持つ身としては有難い。

広上の巧な棒の下、心の深いところで共感し、音楽家ひとりひとり舞台の上全てがひとつの楽器のような素晴らしい演奏だった。それにしても広上はスゴイ、いやものスゴイ。彼の彫琢された音楽性は桐朋メソッドがもはや通用しなくなったかとまで示唆するような気がする。第四楽章の狂気は一流のプロフェッショナルがプロであることを放棄しアマチュアのような熱い魂先行で自らが音楽の生贄になったようでもあった。アンコールのグリーグ「ホルベルグ組曲」からアリアは生前に田中千香士が自らつけたボーイング(運弓)だそうだが、沁みた。サイトウキネンのゴージャスな鳴らし中心のヴィルトォーゾと一味もふた味も違う凝縮感に酔いしれた夜だった。

もうひとつ・・・NHK交響楽団首席チェロの藤森さんのお隣では奥様のソリスト向山佳絵子さんが弾いていた。ご夫婦一緒のプルトなんてうらやましいですねって楽屋口で声掛けたら照れくさそうにされてました。

  

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Home TheaterとOvertureワイン

 
ステレオサウンド社が発行している季刊専門誌「Home Theater」の取材を受けた。編集長の浅野裕子さん、我が家のインストールを担当してくださったサウンドクリエイト社の三浦祐士さんに加えて、我が家のホームシアター機材を選定してくださったフリージャーナリストの本田雅一さんらが日曜日の午後に我が家を訪れた。思い起こせば仕事を通じて10年近くお世話になっていた本田さん宅を昨年2月に訪問し(こちらのブログ参照)、ブルーレイを含めたホームシアターの大迫力に感激し、本田さんにノセられて(?)我が家のシステムを新設することになったのである。
 
もちろんスピーカーはお勧めいただいたLINN社、でも本田さんちの最高級モデルではなく下位モデルではあるが。当日に本田さんのアドバイスを受けて左右スピーカーを少し手前に出して内側に向けることで音の輪郭がより鮮明になったし、センタースピーカーを上に向けることで5.1チャネルの迫力が増した。でも凝りだしたらきりがない(金がない)。本田さんのもっとグレードアップしようよという悪魔のささやきを勇気を持って断ち切って・・・オーディオラックと正面のCD/DVDラックはサウンドクリエイトの三浦さんのデザインを元に施工。なかなか気に入っている。詳しくは次号の「Home Theater」誌をお楽しみに。
 
 
 
取材後は好きなブルーレイやCDを鑑賞しながらワインパーティー。お気に入りのロバート・モンダヴィのOpus Oneのセカンド、Overtureを開けて。ナパ現地のワイナリーでしか購入できないと聞いていたけど、最近に日本でもダース単位で輸入できると知りなけなしの1本を迷わず空けた。お手頃価格でこれだけの味が楽しめるのはホントに嬉しい。音楽と映画とオーディオとワインと、ちょっとだけ(?)ITの話題でいつまでも盛り上がった日曜日だった。 
 
 
 
 

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大阪美味いもん

 
先週大阪に出張した。大切なお客様との会食会があり行ったのが緑地公園近くにある串揚げの「ブロシェット」。知る人ぞ知る隠れた名店。いや、私にとっては世界一の串揚げ。もう20年近く通っている。今回も食べた、食べた・・・今回は生ビールからスタートしてワインに移って、最後は広島の日本酒賀茂鶴でお付き合い。飾らぬちょび髭の店主が優しく食事を盛り上げてくれる。
 
 
 
魔法の6種類の薬味・・・右から、カレー塩、山椒塩、辛子酢、レモン醤油、ウスターソース、そしてとんかつソース。この器は特注で、今ではもう手に入らないらしいので割ったら大変。右上の写真のようにそれぞれひとつひとつの素材に工夫が凝らしてあり、芸術作品のよう。
 
 
マスター、お約束どおりブログに載せました!!! 次回は東京進出戦略を一緒に練りましょうね。。。
 
 
 
 

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N響と横川晴児さん

 
冷たい空気の土曜日の夜、NHK交響楽団第1667回定期公演にNHKホールに出かけた。毎年軽井沢国際音楽祭でお世話になっており、また私の音楽とワインの師匠でもある主席クラリネット奏者の横川晴児さんが今回の定期で定年退職されるので馳せ参じた。指揮はN響初登場のセミョーン・ビシュコフ。あのタラコ唇が印象的なレニングード生まれの鬼才。彼の特異とするロシアものからショスタコーヴィッチの交響曲第1番とストラヴィンスキーの「春の祭典」という演奏時間こそ短いが密度の濃いプログラム。
 
 
開演前の室内楽ロビーコンサートでは、こちらも軽井沢国際音楽祭でお世話になったチェロ首席の藤森さんとコントラバス首席の吉田さんによるロッシーニのチェロとコントラバスのための二重奏曲を聴けた。楽屋に向かう際にお話したらやはり横川さんの最後の定期を迎えたことを寂しがっていた。
 
さて、本コンサートのショスタコーヴッチは多少よそよそしく始まった。まだビシュコフとN響に距離を感じたが、第2楽章のアレグロは美しく仕上がり、終楽章になって霜解けって感じ。ショスターヴィッチ独特の息の長い旋律をじっくり熟成させ勇壮なコーダを迎え心地よかった。後半の「ハルサイ」はそもそもバス・クラ、エス・クラいれて5本要るので横川さんを慕うように全クラリネットの面々が舞台に勢揃い。ビシュコフの指揮はグロテスクさとは無縁な「ハルサイ」で、仔細なリハーサルの成果を想像させるシャープさと洗練されたオーケストラの技量を問うた演奏だった。
 
 
終演後には楽屋口には大勢の横川さんのお弟子さんや演奏仲間が集合し、横川さんの優しい人間味溢れるお人柄がよく分かる。横川さん、今度またワイン飲みに行きましょう!!!
 
 
 

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